結論:比べるべきは「逆転する金利」
変動金利と固定金利の比較は、いまの金利差を見ても答えが出ません。 変動のほうが低いのは当たり前で、問題はその低さが将来も続くかどうかだからです。
意味のある問いはひとつです。変動金利が何%まで上がったら、 最初から固定にしておいたほうが良かったことになるのか。 この水準が分かれば、「そこまで上がると思うか」という自分の判断に落とし込めます。
2つの違い
| 変動金利 | 全期間固定金利 | |
|---|---|---|
| 借入時の金利 | 低い | 高い |
| 返済額 | 金利が変われば変わる | 完済まで変わらない |
| 向いている人 | 金利上昇に耐えられる余裕がある | 毎月の額を固定したい |
変動金利には「5年ルール」「125%ルール」を設けている銀行があります。 金利が上がっても5年間は返済額を変えず、変わるときも従来の125%までに抑える、 という仕組みです。ただしこれは返済額を抑えるだけで、利息が減るわけではありません。 抑えられた分は後ろに回り、最後に残ることがあります。
実際に計算してみる
次の条件で比べます。金利は例であり、実際の金利は金融機関と時期によって 異なります。ご自身が提示された数字に置き換えて計算してください。
- 借入 3,000万円/35年/元利均等返済
- 固定:全期間 年1.8%
- 変動:年0.5%で開始し、11年目に1.5%、21年目に2.5%へ上昇
| 全期間固定 1.8% | 変動 0.5%→1.5%→2.5% | |
|---|---|---|
| 毎月の返済額(当初) | 96,327円 | 77,876円 |
| 11年目からの返済額 | 96,327円 | 87,815円 |
| 21年目からの返済額 | 96,327円 | 94,329円 |
| 総返済額 | 40,457,513円 | 36,862,054円 |
この上がり方なら、変動のほうが約360万円少なく済みます。 金利が2.5%まで上がっても、開始から10年間0.5%だった効果が大きく、 固定には追いつきません。
では、何%まで上がったら逆転するのか
同じ条件で、11年目以降ずっと高い金利が続くとして計算すると、 約2.96%で固定1.8%と総返済額が並びます。
つまりこの例では、変動金利が11年目に3%近くまで上がり、 その後25年間ずっと下がらない――そこまでいって、ようやく固定と互角です。
これを「ありうる」と見るか「考えにくい」と見るかは、人によって違います。 ただ、判断すべき数字がこれだと分かるだけで、比較はずっと具体的になります。 金利差0.5%といった曖昧な話より、はるかに決めやすいはずです。
自分の条件で計算する
このサイトのシミュレーターは、金利の変更を最大50回まで、 任意の回から設定できます。将来の上昇を織り込んだ比較ができます。
- 借入額・期間・固定金利を入力して計算します
- 「+ 複製」で2つ目を作り、金利を変動の当初金利に変えます
- 「+ 金利変更を追加する」で、上がる回と金利を入れます(11年目なら121回目)
- 「選んだパターンを比べる →」で総返済額を並べて確認します
判断するときの注意点
- 上がり方は誰にも分かりません。計算はあくまで「この上がり方をしたら」 という仮定です。楽観的な想定と悲観的な想定の両方を試してください
- 返済額が上がっても払えるかを確認してください。総額で有利でも、 途中で家計が回らなければ意味がありません。2〜3%まで上がった場合の毎月の額を見ておきます
- このシミュレーターは5年ルール・125%ルールを反映していません。 金利が変わった時点で返済額を計算し直します。実際の銀行の扱いとは異なる場合があります
- 借入額が小さい、期間が短い場合は差が縮みます。 金利の影響は借入額と期間に比例して大きくなるためです
まとめ
- いまの金利差ではなく、何%まで上がったら逆転するかで考える
- 上の例では、変動が11年目に約2.96%まで上がって固定と互角
- 総額で有利でも、上がったときに払えるかは別に確認する
- 金利は金融機関で違うので、自分が提示された数字で計算する